税務上の鑑定評価(旧ホームページより転載)

相続税法22条によると、相続財産の価額は当該財産の取得時における時価によるものと定められています。そして、財産評価基本通達によれば、時価とは「課税時期において、それぞれの財産の状況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額である。」とされています。ところが、個別に課税対象の全ての時価を把握することは不可能なことから、財産評価基本通達により評価した価額が時価であるとされています。つまり、簡便的な方法として前面道路ごとに振り当てられた路線価をもって、一律に時価を算定し課税されているのです。しかし、不動産は個別性の強い資産であり、鑑定評価でいうところの地域的な要因(地域要因)が同じでも、個々の不動産の特性である個別的要因により価格は大きく異なることがあります。つまり、前面道路が同一であったとしても価格は異なり、不整形地、崖地、無道路地、旗竿地等は、標準的な画地に比べ価格が低くなる傾向にあります。このような場合だと、路線価に基づく時価が高額に評価され、過剰に課税されている場合があるのです。評価通達総則6項によれば、個別性の強い資産について評価通達による評価が適当ではない場合には、厳密な評価を行うべきであるとされており、不動産鑑定士による鑑定評価が適当とされるケースがあります。相続税については、すでに申告した場合でも、申告後5年以内であれば相続税還付請求ができます。固定資産税や都市計画税についても同様のことが考えられます。固定資産税は保有する固定資産に対して課税され、都市計画税は都市計画区域内に所在する土地、家屋に対して課税されます。固定資産税も都市計画税も「固定資産の所在する市町村」によリ賦課される地方税で、毎年1月1日現在の固定資産課税台帳に登録されている所有者に課されます。固定資産税、都市計画税については、固定資産評価基準に基づき路線価が決定されます。固定資産税路線価については3年に一度の評価替えまでは評価額が据え置かれ、価格の変動があった場合には時点修正により評価額を修正できるとされております。東京23区内の路線価について興味のある方は、こちらの東京都主税局のホームページでご覧になれます。(先の財産評価基本通達に基づく相続税の路線価については「リンク」のページからご覧戴けます。)固定資産税についても課税台帳に登録された評価額について、不服申し立てができますが、相続税の場合と異なり、納税通知書の交付を受けた日後60日以内に文書で審査の申し出をしなければならないので、お気をつけ下さい。いずれの場合も、お心当たりのある方は、税理士、不動産鑑定士等の専門家に相談してみてください。

2019年05月12日